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「お待たせいたしました。ミックスサンドと温かいミルクをお持ちしました」 「えっ・・・・・・」 「ミックスサンドとミルクです」栗原美津江が微笑んでいる。 「あら、嫌だ。私ったら、ボンヤリしちゃって。ありがとう、お嬢さん」美津江がテーブルにサンドウィッチの盛られた楕円形のお皿と湯気の立つミルクカップを並べていると、 「さっき、お嬢さんの言った通りだわ。ほら、お天気になっている。そうね、春はお天気がいいもの」 「そうですよね。私もお天気の方が好都合なんです」ステンレスのお盆を胸の前で抱くようにして美津江が答えた。 「好都合って?」 「ほら、このジトジトの髪の毛。雨が降って湿気ると最悪なんです。こんなふうに縮れ放題」 「あら、本当。大変ね」テル子は美津江のいたるところで、とぐろを巻いた体積のある髪の毛をマジマジと見つめた。 「あっ、すいません、余計なことを言って。温かいうちにお召し上がり下さい」 「いやだ。こちらこそ、お嬢さんのお仕事の邪魔をしちゃったみたいね」この時、厨房の方から藤村隆司の声が届いた。 「栗原さんも、今のうちにお昼にしておいて。サンドウィッチとアイスコーヒーあがったから」 「ハーイ」美津江が元気よく返事を返すと、 「お嬢さん、もしよかったら、ここに同席していただけないかしら。一人で食べるより、おしゃべりしながら食べる方が楽しいんじゃないかしらって思うのよ。いえ、いえ。もし、お嬢さんさえよかったらなんだけど・・・・・・」テル子が遠慮がちに上目遣いで美津江の顔を覗くと、 「はい。もちろん喜んで」何の屈託もなく、美津江がテル子の顔を見てニッコリと微笑んだ。

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