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「そうだわね、今日は今から美津江さんのお店に寄って、お昼をいただいて、さて、何をいただこうかしら・・・・・・。この前いただいたオムライスも美味しかったし、でも、日替わりランチもお勧めだって、美津江さんが言ってらっしゃったから、今日はそれにしようかしら、そうね。それから、あの人のお墓参りだわね。いやだ、やっぱり、お墓参りが先だわ。それから、最後に、センター街のペットショップに寄って、ミヨちゃんのペットフードを買わなくちゃね。いつもミルクだけじゃ可哀想だもの。でも、うちのミヨちゃんって、本当に可愛いわね」川村テル子が、これから先の行動を確認しながら駅の自動改札口を通り抜けると、コンコースの傍らの人集りから一斉に声が上がった。 「難病に苦しむ子供たちに愛の手を、よろしくお願いします!!」 「募金活動を行っております。どうかよろしくお願いします!!」 「皆様方の善意を、難病に苦しむ子供たちとその家族のために、募金活動へのご協力を、お願いします!!」  首を伸ばすようにして顔を上げると、テル子は声のする方へと視線を移した。 「あら、募金なのね。そうよね、子供が病気だなんて心が痛むもんだわ。それに、ご家族のご苦労も大変だわね・・・・・・。そうだ、私も気持ちだけでも応援しなくちゃ」テル子は羽織っているショートコートのポケットへ手を入れた。 「切符を買った時のお釣りが・・・・・・そうそう、二百円よね」テル子は銀色に輝く百円玉二つを手の平に載せた。 「これじゃ少ないけど、ご免なさいね」手の平をギュッと握り込むと、テル子は駅のコンコースを横切るようにして、募金箱を抱える人の列へと近づいて行った。

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