作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

***************  吾が、先程、瞬時に拾った小杉亜希の不安定な意思は、吾が具現化できた亜希の根元的な意思と連動している。  亜希の母親である小杉小夜子は、亜希に電話をした時点において、この栗原美津江、いや、この時代の同年代の人間が操る語彙のうちで、的確な表現があるとすれば、「舞い上がっていた」ということになるだろう。そして、その原因たるは、自分が目標にしている上司の「小杉さん。素晴らしいプレゼンだったわ。あなたの将来は、我が社における私に続く女性で二人目の取締役よ。是非これからも頑張ってちょうだい」この言葉に起因しているようだ。  だから、亜希に対する思い入れが希薄化され、当然にして、亜希の気持ちの琴線に触れてしまい、不安定な意思を助長させることになったのだ。  吾が感じるに、亜希が確信している根元的な意思は、間違いなく亜希自身の自己破滅をもたらすことになるだろう。なぜなら、この人間という生命体は、肉体と精神(意識)とのカップリングによって成り立っている。しかも、物質世界の場にその存在が位置づけられているがゆえに、肉体にかかる生命比重が極端に強い。しかし、その反面、精神はこのデリケートで非常に脆い肉体に多大な影響を及ぼしてしまうのだ。                              ***************

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません