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 エレベーターの扉がスーッと開き、定番の白いコスチュームを身につけた若い看護師が二人、地下一階に降り立った。忙しい業務の最中なのか、二人ともキビキビと廊下を滑るようにして進む。  廊下を右に鋭角的に曲がり、視界を放射線科、そして検査室へと続く廊下に移した時、 「佐藤さん、ほら、あの人」背の高い方の看護師が傍らの看護師に注意を促した。 「畠山先輩、何か様子が変ですね。あの人」 「行きましょう」二人の看護師が、三十メートル前方に向かって廊下を駆けた。 「あなた・・・・・・、どうされました?」佐藤と呼ばれた看護師が検査室前の長椅子に背筋を伸ばして腰掛けている栗原美津江の肩を少し揺すってみた。 「固まっています。この人」 「バイタルは」佐藤看護師が手首に触れた後、首を横に振った。 「ありません。それに呼吸も・・・・・・ありません。先輩!」 「どいて、佐藤さん」畠山看護師は胸ポケットからペンライトを取り出すと、見開いたままの美津江の瞳にライトの光を当ててみた。 「瞳孔反射がない・・・・・・」 「それって、先輩、死んでいるってことですか。それで、硬直を・・・・・・でも、体温はあります。それに、この人、どうしてこんな格好で」 「いいから、佐藤さん、直ぐにドクターを呼んで来てちょうだい」 「はい。でも先輩、こうした場合、何科のドクターがいいんでしょうか。内科ですか、循環器科ですか。それとも、ここは乳幼児専門病院ですから小児科の先生」 「誰でもいいから、暇そうにしている先生を連れて来なさい。早く!」先輩看護師の一喝で佐藤看護師が脱兎のごとく走り出した。

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