作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

***************  そして、吾もこの栗原美津江を通じて、心地よさを感じ得たし、意識体として存在する吾自身の純粋性が一段と増したようにも感じられた。  どうも吾は、この小杉亜希という、この世界に生息する個体の所持する意識に何らかの特異点を見いだし、その特異点を覚醒させることにより、この個体の相対的調和に触れる際に、吾がこの世界に送り込まれた使命、そう、この時点では、抜け落ちて忘却してしまった意識の欠片のワンピースが、吾に付与されるように感じられるのだ。  だからこそ、吾は栗原美津江として、四日前の月曜日に小杉小夜子と小杉亜希の母娘に引きつけられたことに、何らかの意義があったのだし、そのことをして、吾は突如として栗原美津江の肉体から抜け出て、具現化された亜希の意識に同調することができたのだろう。  それにしても、この亜希と鈴鹿女医は、そうだったのか。栗原美津江とだけではなかったのか。これも今晩の吾の一掴みの発見であった。  では、本題に戻って、吾は何を為すべきなのか?・・・・・なのだが、当然、その結果そのものについても、吾自身、先程の「クゥー」という鈴鹿女医の奏でた号砲で、既に感じ取っているはずなのだ。                              ***************

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません