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18. 康之 side: " 波紋 Ripple 18 "    少し病気に馴染んだっていうのは変な言い方かもしれないが 治療方法は相変わらず見つかっていないようで、一日の大半は寝て過ごして いる妻が病気との付き合い方に慣れてきたみたいで、ここのところ2度ばかし 寝ないで俺の帰りを待つということがあった。  自分が病気で長期に渡り臥せっている負い目もあってか、強くは主張して こなかったが、彼女の言葉の裏には暗にもう少し早く帰ってこい、そして 妻と自分との時間を作れというニュアンスが込められていた。  病気になってから初めて2度ほど起きて待っていただけの妻にそのような もっともらしいことを言われ、俺は軽く切れてしまった。  だってそうだろ?  妻が病気でずっと寝ていた間、俺は彼女に嫌味なことや冷たい仕打ちをしていたわけでもなく、大人しくなるべく出来ることは自分でしていて生活全般に亘って妻に迷惑もかけていないのだからな。  外で食事をし、酒を飲んで帰って来る俺は、今まで手のかからない良い夫だったはず。