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13-2.    お酒飲んでて誰かに送ってもらった?  すぐに運転席側のドアからも人が出てきたのが見てとれた。  どうして? と思って見ていたら・・・。  その女性は夫に軽くキスをし、二人は互いの手に触れながら別れを 惜しんでいるかのように離れた。  いわゆる恋人同士のいい感じっていうやつ。  じゃぁまたね、とでも言うかのように名残惜しそうに、その人物は 車に乗り込み走り去って行った。  私は自分を責めた。  今まで一度も夫の遅い帰りなんて待ったことなどなかったのに・・ こうして窓越しに彼の姿を探しながら待つなんてことなかったのに・・ し慣れないことをしたら、どう?  こんな場面を見せつけられて。  あーっ、泣きたい気分。  お茶なんて出せる気分じゃない。  私はすぐに部屋の明かりを消した。  そう、いつものように寝ている振りをするのだ。  その夜、身体の温まる熱いお茶出し、という私のささやかな気遣いやら 心遣いが夫に届けられることはなかった。