『 LOVE YOU!』 最後は君を好きになる
『 LOVE YOU!』6
6. " 波紋 Ripple 6 " 翌日午後一番に雨がそぼ降る中、母が来てくれた。 なんかっ、ぶわっと安心感が半端ない。 しかし、やって来るなりいきなりの母親の発言に驚かされた。 「ね、香ちゃん・・泰之さんに病名のこと話した?」 なんて、そんなことを聞かれたから。 「どうして? そんなこと聞くの?」 「ううん、なんでもないのよ。 だけどなんとなく気になるじゃない、やっぱり」 「話したよ、そしたら康之さん、『そっかっ』て。それで 『無理しないで養生すればいいから』って言ってくれた」 『どうして?』 なんて母親に思わず聞き返したりして自己嫌悪。 もう今から病気に負けそうな自分の心持ちが嫌だった。 母だってそりゃあ娘の伴侶の反応が気になるわよね。 当たり前のことだよ。 「香、私一休みしたらハローワークと最寄りの大学に行ってくるわ」 母が言った。 「あぁ、求人ね」 「本当はご近所でいい方がいるといいんだけど、まぁプライベートな 部分を見せることになるから難しいところね。だからね、っていうか 同じ人にずっと来てもらわないで2人くらいの人に決めて様子見して 信頼のおける人を見定めてから、最終的に1人にしてもいいかなって お母さん考えてるの」 「そうだね、うん、それがいいと思うわ、私も」 「それにね、香ちゃんの体調もこの先良くなると思うし、そうなったら 来てもらう時間なんかも減らしていけばいいし。 だからそういう意味でも単発的なバイト感覚で来てもらうのが いいかなって。