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 翌日、私はまたいつもどおりに図書室にいた。 昨日借りた本を返して違う本を借りるためだ。 「あら、これ昨日借りていった本じゃない?もう読んじゃったの?」 「うん。短いお話ばっかりだったから、すぐに読み終わっちゃった。でも、この本と同じ棚にあるのって、これで全部読んじゃったことになるんだよね。新しいのって、入ってないんでしょう?」 「そうね…あなたの好きそうなものは、入っていないわね。」 「ふうん…じゃあ、今日はなにを借りようかな」 私は、好きなシリーズが置いてある書棚のほうに足をむけた。 『推理もの』とポップが棚の上部に貼ってある。 書いた作家の名前順に並んでいる本たちを、いちばん上の棚から順番にタイトルを見ていく。 どれも読んだやつばっかりだ。 (しかたないから一度読んだやつを、もう一回読もうかな) すでに読んで、犯人がわかっている本を読むのはつまらない気がしたけれど、犯罪のトリックとなぞときする探偵の姿がかっこよかった一冊を手にとって、カウンターにむかった。   「これ、かります」 「はいはい。…あら?あなた、これ前に一度借りているわよね?」 「うん。でもあそこの棚の本は読んじゃったし。」 「そう。あ、そうだ。あなたはこの作家さんの本を、読んだことはある?」 そう言って先生は、カウンターの後ろの棚から一冊のハードカバーの本を取りだした。 それはこうもり傘を持った美少女が活躍する話で… 「読みました。面白かったけれど、女子高生がスマホどころかガラケーも持ってないってなんかピンとこないし」 「まあねえ。でも読みやすいのは読みやすかったでしょう?『こんな子いないし』みたいな設定は置いといて」 「うん」 「棚に置いてある、この人の本は全部読んだのよね?」 「ミステリーコレクションでしょう?10冊だっけ、全部読みました」 「あの中に猫が出てくる巻があったでしょう。棚にはあの一冊しか置いてないんだけど、箱に入れて片づけてある本があるのよ。よかったらよんでみない?」 「え?そんな本があるんですか?読んでみたい。ネコさん大好き」 「じゃあ、持ってきてあげる。だけど今の本みたいに、きれいじゃないわよ」 「だいじょうぶです」    私は図書室の奥の、物置がわりの部屋に本を取りに消えていった先生を、期待に胸を膨らませて待った。 「おまたせ。とりあえず今日はおためしということで一冊ね」 「はい。ありがとうございます。ほんとに古いんだ…それにこれは?ハードカバーでもないし文庫でもないですよ?」 「最近は学校にはこのサイズの本は、ほとんどいれてないものね。これは新書サイズね、ノベルズということもあるかな」 「ふうん。先生も読んでたの?」 「もちろんよ。友達と競うように読んでいったな」 先生は懐かしむような顔をしていった。    受け取った本をパラパラとめくっていた私は、裏表紙をめくったところにこの学校名でない学校の蔵書印が押してあるのに気がついた。 「先生、これ、違う学校の本が混じってる」 「ああ、これ。これはこの学校の本で間違いないのよ」 「でも名前が違うよ」 「ここ学校はね、何年前になるのかな…子供たちが少なくなってきたからって、三つの学校をひとつにまとめたのね。そのときにそれぞれの学校の図書室にあった本も、みんなこの学校に持ってきたの。だから最初のころは本棚には三つの学校の名前が入った本が並んでいたのだけど、どんどん新しい本が増えていくから、古い本は倉庫にかたづけていってたのよ」 「ふうん」  借りた本は本自体も古いし、内容的にもこうもり傘の少女の話と同じ、スマホもパソコンもない不便な設定だった。 それでもとても面白くて、あっという間に読み終えてしまった。 (明日も別の本をかしてもらおう)   続

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