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デジタル彩色にたる アニメ画なす、透明度みなぎる、壱杯の夕日のなか、秋人、セーラー服の襟ひるがへし、首ひきしばり 駈けてゆくを、観たる主体は、それを誰と、男か女かとを 見極めむとて 目凝らしてあり。氾く夕景、途の上、電線見ゆ。その最中にありつる閃光こそ もとも見べき事たれ。主人公たる 秋人、こちらに背を向け、盎てる西陽の中、弌散に駈け去りゆく。青春とは かくも さまざまの悩みに忙しかるものなるべし。セーラー服の襟捲るゝに ともなひて 短きスカートも捲れ、阪を駈けのぼる その裾さばきゆ、夕日のなしにや、臙脂色がかれる 格子縞の下履き のぞけ、愈よ 男女何と不解分。主人公、やがて自宅へ着き入る。旧廈の戸前に、かれの祖母ならむ人の、是の玉の嗣子を出迎へむとて、割烹着めく 白き衣に包まれたるが、立ちて俟つ、小さくあなたに見ゆ。 我が居べき方ならぬフロアに抜け出でて来たり。そこな男児らの 弌に、ここは何年生の階かと尋ぬれ、三年生の階と答ふ。その男児が面差し、眉太く、黒目がちに、肌なめなる、人と異なりて、造られたる機械がごと。 やがて 外に出づれ、中庭ゆ 見あふぐ、とり囲む 校舎、赭き褪せたる煉瓦壁そびゆ。白き噴水、電光ちらちらと躍る。 ふたたび、山谷より、戻り来たれる弟、黄なる台形の物体と 眞みだちて 相対す。これがために、再び 戻りて来たれり といふ、悲願とて、たぎつ心 ひたぶるに、この木に生れる実、大柑果に似たれど、それよりは小ぶりなる実、闇のうち、確き葉 黒々たるが上に、二つ熟れて生るが壱に むしゃぶり 齧り着く、その姿、人たるよりは一段劣りて 猿がごと。ただ今 捥ぎ取られ 奪はれむと 揺さはるゝ、うるはしきが この木の命を 憐れに いとほしみもふも、すぐさま、かかるあらわざこそ うぬが野生のためには、豫ねけるが内、とおぼえて、寧ろ 適はしかれと。 金髪 ゆるく波うち 腰許までながきを、頭上ゆ ふわと盛り上げ、赤色眼鏡おへる女生徒。 生徒、とりどりに 数多荒れたるあり と いへども、この荒れやうは 二なく 珍しきさまなり。 かつては いと猂れて 悪名高かりしかど、今は たえて にこやかに、卒業アルバムの 右下の角にうつる、かつての 是の きすくなる 面差しとは たがひて、ゑみひらきて たちしなひ はにかむに、浴みせらるゝ 人言が趣旨も しかれ、これぞ ひとへに、かつて ともに 遯げ、傍らに添ふる人が故ななる。 さきの、赤き母とは別の女人、うぐひす色の着物着、頭頂に団子ゆひたる、なきそほつ。 怪人四ツ面相。四角き面に 大人しく はだかり、こなた側なる 若輩刑事の口に 草巻含ませ、その口に入れる筒を 己が指もて 上下にはげしく燻らし、自白を迫る。 久方ぶりに得たる旨寐の後、甘やかなる夢の側へ 幾度 押し戻さるゝ心ちに、かく乾ける外をこそ いよよ あづきなみ おもほゆれ、ひたになづまむと ひきつづく。さて 緩されてあれば、去ぬとおぼえし 途ざまなりし夢のことごと、再び逢ひて、なつかしき 昔のごと香 鼻孔にとまれるも 無限のひろき ふかみをもちて 頭のうち、寄する濤に ひき のまれつつあり、これをわざと絶やして起くべき際を判かず、さりとて、さながら枯れゆくままに 無に放ちぬるを 朽ちも惜しみ、とかくとも取り集めて誌さむ。 人を何と 物の名何と 辯ふるより、そのものとあるがさまこそ 尊きなれ。時ゆくに、あひ連なり綴るゝ、因果律、関係性の如何を、文上に於きては、孰方かに 定むるを 避らず、こを けさやかに 主みすらく 避らぬ、僻ごとじみて、あいなし。更に 語を尽くさむとも 既なる詞にては 青き滴の光のさまそら 再び取り戻すこと能はず。

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