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庭なる 向日葵に似た 背いとどしく堯き植物、生ひおひて一本の繊きに背丈の剩れ、風にあふらえて茎のなかほどの 殆と直角にしなへ、植物は 逞しく みづからの身をまもらむとするがに、その茎の半らに かさをこさへためれ、以後 いかに風のつよく吹くと 負けじ 然るべく成長をも遂ぐ。 その 棘々の背に生えた毛虫に似たかさどもはやがて枯れ、植物が茎の上方、唯一つ頂ける花にちかき処に 二つばかり貼りつきて残りてあり。そのかさのうちに やがて 唐黍に似た実の生るらしく、その蓑のうちに母は入りて、今はもはや不要たる枯れた鬚などをとり捨てはふれ いよよ うるはしき唐黍然たる実のあらはれ、その実と共に うちなる此ちにポーズをかまへて見ゆ。 ただ敞き土間なる工場の清掃作業など、これより日をはじむがに さまざまの家事をなさむと、吾をさきなむがにきおう。右手側なるコンベアのうちゆ、雪崩と磒つ、刃の下、はじめは青リンゴ、次はスイカ、孰れもうるはしく、刃にて荒ましく傷つけらるゝがいたまし。 赤実汁を書斎なる父にも頒たむとて持てゆくめり。既にかれて見るかげもなき我なれど、過去のごと ふたたび鏡前にたち、これも昔購ひし黒レースのトップスをワードローブより取りいでて是の身にあてかひて試る。見るかげもなしとおぼえしが、鏡中なるその姿は 一応のかたちあり、わづかにのぞみを見いだす。 廊下より妹、デートに着てゆく服を既に着衣しつ、判断を吾れにあふがむと来たり。その装ひ、下は大ぶりのフリルなる黒地に細かい白水玉のショート・ティアードスカートなるが、その上も これまた大ぶりのティアードフリルなるピンクのシフォンブラウスと 気あひの贏りに盛り過ぎたれば、こはカジュアル・デートなどには相応はに、重じき食事会などにこそ相応ふべきなれと駄目だしを与う。此れよりは面見えぬその彼氏たるは定めし面くらひて卻きぬべし。その黒フリルのスカートをさながらつかはむとならば、上は寧ろ やり過ぎなほどプレーンでカジュアルなトップスを翕せて爾るべきだ、喩へむは ビーチにでもいくやうな 麁織りの白い厚綿地に 青縞の横に入れる、など提す。 頭の裏方に血おし駈けて内耳にしるく脈うて 浅くとも夢への途を結ばると覚ゆ。予ねしも著く。寝台よりやはらかに横へ隕つ。棒グラフの左より幼年期より順にならべた成長阻害の度合いの推移を示した成果物を 妹はしげしげと閲す。その棒グラフはいづれも与えられた赤実汁に染まりて色の区別判ちがたし。加へて、阻害はげしき幼年期の頭うちは 右にゆくにつれて齢長じても さほど伸び戻らず横這いに推移す。左に示された上限は せいぜい7より10歳ほどまでなれば そもそも幼年の域を出じと今さらに訝し。かくして我は先ごろより夜のうちに我が一日を始めむ機会をうかがひけるが、家人どものいとなみ今ださかしきによりて、自由を暢ぶを心もとなし。

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