夢のかけら
第三夜 沈

作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

僅かに湿り気を帯びた緩い風が纏わりつく夜。 寂しげな佇まいの女は薄ら笑いを浮かべ私の手を引き路地を行く。 低い丘連なる町。路地の殆どは階段である。 私達は角を折れて折れてまた折れて夜の底へと下る。 闇に分け入れば、落涙後の鼻腔に似た香気が押し寄せてくる。 涙などついぞ流さぬものをと不審に思えばそれは面前から漂う。 生い茂る葦の向こうに月明かり淡く光る黒き水面が見ゆ。 女は私の頭を水に沈め、私は抗いもせず苦しむ。

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません