夢のかけら
第二十夜 逃

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そこは幼い頃に暮らした古い二軒長屋だった。 砂壁に囲まれた四畳半に動物保護施設のようなケージが積み重なっており、ひとつには白い虎の子が入っていた。 ケージの戸は半開きだが、虎は麻縄で繋がれている。ただ麻縄は引けば解けるほど緩く絡んでいるだけだ。 じっと見ていた虎が、じり、と半歩進む。縄の結び目がはらりと解けた。 心の揺れを気取らないよう、すべてを空にして後ずさる。 虎の息が聞こえる。 私はひと息に駆け出した。

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