夢のかけら
第十夜 包

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朝靄深い木立をゆく。 凪いだ心で。あるいは虚ろな心で。 左肘を曲げ、花籠を提げている。 足元さえも霞む中、行く手にぬっと手だけが現れる。 ただそっと花を一輪渡す。手はふつと消えた。 二度三度異なる手が現れては消える。 幾度目かに現れた手に、そよ風が吹く。 わたしは花を差し出す。いっとう美しい花を。 その手は。花ごとわたしの手を包み込んだ。 覚えあるぬくもりに指を絡める。 木々が奏でる葉擦れの唄。 ああ、靄が晴れてゆく。

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