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 授業中、かんなちゃんへ手紙を回した。 『嫌な思いさせちゃうかもしれない。ごめんなさい』  返って来た手紙の文字は書きなぐられていた。やはり怒っている。 『既に敵認定済み』  その後に書かれていた一言に、わたしは頭を抱えたくなった。 『あの子、新っちにえらい反応してたけど』  あっという間に始まってしまった。加奈ちゃんのわたしが嫌いな悪い癖。そうして加奈ちゃんは自分の興味を只管追いかける。  加奈ちゃんの興味にいつもわたしは何かしらの形で巻き込まれる。  巻き込まれるという言い方はおかしい。わたしと加奈ちゃんの関係に周りが巻き込まれる、それが正しい。  少なからず、また大切な友達に迷惑を掛けてしまうかもしれない。そう思うと、罪悪感が襲ってきた。  周りには沢山の人が居るのに、どうしてこんなに加奈ちゃんはわたしにばかり構うのか。  前から疑問だった。  どうしてわたしなのだろう。  その疑問は一向に解けないままだ。  もう少し加奈ちゃんをよく見つめていれば解けそうだと思わなくもない。しかしそのもう少しはだいぶん労力が必要になるし、落ち着いた時間が必要。  良い所もいっぱい知っているからこそ、これ以上藪から棒には突き放したくはない。嫌いじゃないから。  自分から離れたくせに、そんなことを思うわたしはきっとわがままだ。  どんなに押しつけがましくても、加奈ちゃんがわたしを友達と思ってくれている限り、わたしは加奈ちゃんの友達としての顔を崩したくないのだ。  これもきっとわたしのわがまま。  けれども、また無闇に周囲を掻き回されたら、悲しい。わたしはそれが悲しい。笑えなくなってしまうかもしれない。無理の仕方まで忘れてしまうかもしれない。  今の生活が大切だから、いつだってみんなの周りで微笑んでいたい。  授業がまるで頭に入ってこない。  黒板に書かれたものを条件反射のようにノートへ書き写し続けたわたしの心はどこか遠くに行きそうだった。

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