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 授業の合間に新君が辞書を借りに来た。昼休みに会うから返しやすいと、新君は幼馴染みのかんなちゃんではなくてわたしに声をかけた。  ついつい加奈ちゃんの席の方を伺ってしまった。なんだか目を輝かせている姿が見える。  ため息を吐いたら新君が不思議そうな顔と目でわたしを見たから適当に誤魔化した。  やっぱり加奈ちゃんの興味あるものはわたしだけではない。  わたしよりも、わたしの周りのものと感じてしまう。悲しい。  机に戻りながらもう一度加奈ちゃんの方を見つめると、加奈ちゃんはかんなちゃんと話をしていた。  互いに刺々しさを伴っているようだった。  話の内容までわからなくても、かんなちゃんが怒っているのは明白だった。眉を顰めてそういう時の顔をしている。  激情していないのがせめてもの救い。  かんなちゃんはある類に関して沸点がひどく低い。  嫌だな、と思った。  わたしと加奈ちゃんの問題なのに誰かが巻き込まれてしまうことが怖い。  いつだってそれはわたし自身のことなのにどうしてか蚊帳の外に置かれてしまい、わたし自身では解決出来ないことばかりだった。  わたしは後で謝ることしか出来ない。  仲裁が出来ないような場所に置かれてどうにも出来ずにいた。  机に着くとうっかり視線を落としてしまい、慌てて顔を上げた。クラスメイトの誰かに「どうしたの?」と聞かれる前に。

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