麻倉日記
3、父さん

作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

最後はうちの大黒柱。父さんである。この男もまた、かなりの変わり者である。 たとえば、 「散歩する」 と言って、ベランダをぐるぐる回っていたりする。え、あれ、ベランダって散歩するものだったけ・・・・・・? とこちらの認識がまちがっていたのかと思わせてくるが、普通ベランダは散歩するものではない。 週末になると家族で出かけたがるのだが、現地に着いたら解散。また〇〇時に集合。これは私が小さい頃からの我が家の当たり前なのだが、どうせ解散するのに何故一緒に行きたがるのか、私には謎だ。 父さんは家族でどこかに行くという行為と、温泉がとても好きだ。そう、つまり、旅行が大好きだ。 父さんは単身赴任で今長崎にいるのだけれど、私と母さんは二回ほど、父さんに会いに長崎に行った。 父さんは得意そうに読み込み過ぎてしわしわになったるるぶをもって、長崎を案内してくれる。 オランダ坂を登って、大浦天主堂、グラバー園に行ったのだが、教会の中、ふと父を見ると、十字を切って、手を合わせていた。 (え!? 父さんクリスチャンだったけ!? ていうか十字の切り方間違えてるよ! 縦が先じゃなくて横が先だよ!) というツッコミは心の中に留めて祈りを捧げる父をまじまじと見つめる。この人、すげえ。 極めつけは、グラバー園で立ち寄ったカフェで放った一言だった。るるぶで予習ばっちりのお父さん。 「この、ダッチワイフコーヒーを下さい」 (ダッチアイスコーヒーね!? アイスね!? ワイフだと意味が変わってくるからね!?) この話題はしばらく我が家での笑いのネタにされるのだけれど、あの時は本当に恥ずかしすぎて父を殺して私も死のうかと思った。 父さんは外さない男なのである。なんか変わってて、毎回面白い。昔はそれが理解できなくて、この人は私には興味がないんだ、と思っていたが、どうやらそうではないらしい。私はちゃんと愛されている。それを実感したお話もまたいつかできたらと思う。 ともかく、私は面白い父さんが大好きだ。

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません