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 私は彼女の黒く覆われた部分をかき分け、彼女の女性器を見つめた。薄ピンク色、肉の色。そっと指先で触れた。父はいくどここに自分のものを入れたのだろう。父の顔が蘇った。激情がこみ上げる。愛しくて愛しくて、私はそれを飽かず見た。笑った父の顔、優しかった父の顔、一度激しく𠮟られたときの父の顔、最後に死化粧を施され仏さまのように美しかった父の顔。ふいに涙がこぼれ落ちた。  私は彼女の身体にもう興味を失ったように、ベッドの上にしゃがみこんだまま、俯いて声も出せずに涙を流し続けた。  ようやく、私は泣くことができた。どこかに安堵の気持ちがあった。  本物の涙を流すことが許される場所。  いつのまにか彼女は体を起こして、そんな私の肩に手をかけてくれた。私が抵抗しないことを確かめて、今度は全身で抱きしめてくれた。背中側から抱き込むように。  そうされながら、私はずっと泣きつづけた。  寒いだろうに、彼女は服も着ずにずっとずっと私を温めつづけてくれていた。  これが、麻美さんと通じ合えた初めての時間だった。

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