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 小焼くんは不良ではないと思うんやけど……見た目はピアスもいっぱいやから、ヤンキーって感じもしてまうから、不良かも……中身は礼儀正しくて優しいんやけど……。 「私は床で寝ますので、ベッドはお前が使ってください」 「え!」 「どうかしましたか?」 「いっ、一緒に……寝ぇへんの……?」 「…………これは例え話なのですが、お前ってうさぎが好きですよね?」 「うん、大好きやの」 「もしも喋るうさぎ――アリトリのクロックがいるとします。見るからにもふもふで触り心地が良さそうです。どうしますか?」 「それは触ると思うの」 「しかし、触るともう、クロックには会えません。お前を怖がって近寄らなくなります」 「え! そ、それやったら、クロックちゃんとおしゃべりするの」 「ですが、クロックはお前に触っても良いような雰囲気を出しています」 「じゃあ、触るの。なでなでするの」 「しかし、触ると嫌われます」 「はうぅ。それなら、やっぱりおしゃべりするの。触らないようにおしゃべりだけ楽しむの」 「…………私も、そうしますよ」  小焼くんは曖昧な笑みを浮かべて、ウチの頭をなでなでする。床にお布団が敷かれてる。やっぱり一緒には、寝てくれへんのかな。えっちもしやんのかな……。  志乃ちゃんに貰ったフォロモン香水、小焼くんには効かへんのかな? 志乃ちゃんは男なら誰でも釣れるって言うてたけど……。 もしかして、ウチってそういう魅力が無いんかな……。背も低いし、お腹もぷにぷにやし、ちょっと、ロリっぽいとか……言われたことあるけど……。ふゆちゃんに「合法ロリだ!」って言われたこともあるけど……志乃ちゃんには「でも、顔のわりにおっぱいなかなかあるジャン」って言われたけど……うぅ、どないしょ……。  前に見たお役立ちサイトの内容を思い出す。お布団に座ってる小焼くんの隣に座って、腕にくっついてみる。 「小焼くん、ウチ……」 「っ、少し、熊を倒してきます」 「えっ、熊?」  ウチを振り払って、小焼くんは部屋を出て行ってしもた。熊を倒してくるってどういうことやの……。 ふゆちゃんにメッセしよ。すぐ既読がついて返ってきた。「トイレだと思うよ!」って。お花を摘みに行くって言うのと一緒なんかな……。熊を倒してくるってワイルド過ぎるの……。 スマホがふるえる。夏樹くんから着信やの。 「はい、もしもし?」 「あー、けいちゃん……、あのさ、小焼が……我慢できなくなるから、あんまり触らないでくれって。えーっとだなぁ、その……、なんて言うかなぁ……」  後ろでふゆちゃんが「お兄ちゃん言い方考えてね!」って言うてるのが聞こえる……。だから何か考えながら話してるような妙な間があるんかな……。 「あいつも男だからさ」 「あの、それで小焼くんは……? お手洗いやの?」 「おう。今トイレで抜いて――」 「お兄ちゃん!」  ガタンッ! ツーツーツー……。  ふゆちゃん、夏樹くんに何したんやろ。なんかすごい大きい音と共に通話が切れてしもたやの。

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