140度の彼方で、きみとあの日 見上げた星空
恋愛 全14話 連載中
 昭和19年4月、日本のほぼ真南にあるニューギニアという島は、戦場だった。そこには、大好きな、泣ける戦争映画の「戦って散る美しさ」なんかどこにもなかった。  それは…………死の行進としか表しようがないものだった。ろくな装備もなくて、泥にまみれてただ森の中を敵から隠れながら歩くだけ。それだけなのに、仲間がどんどん死んでいった。  ある人は、お腹を壊しただけで死んだ。またある人は、マラリアで。そしてまたある人は増水した河の濁流に飲まれて死んだ。せめて敵と戦って死にたい、そう言ってみんな死んだ。  何も食べるものがなくなって、手当たり次第に草木を口にしてもがき苦しんで死んだ人。怪我が元で熱を出し、雑草すら食べられずに弱って死んでいった人も……。  勝機がまたやってくると信じて、生きて味方と会うために、隠れて、隠れて。生き残ったあたしたちは、食べられそうなものなら何でも食べた。雑草でも、虫でも、何でも。  戦争は、美しくなんかなかった。  戦争は、かっこよくなんかなかった。  ただ、暑くて、寒くて、臭くて、痛くて、お腹がすいて、疲れて、辛くて、悔しくて、悲しくなるだけだった。  そして戦争は……。  あたしの初恋の人さえも、容赦なく連れ去った――

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