I’m free to be whatever I.
Shut the fuck up! 的な感じの元クラスメイト。

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 今日の飲み会は本当にキツかった。終電間近まで解放しないとかパワハラじゃねぇか! 「女子は 2,500円ねー!」  意味わかんねぇし! 私はグランべサワー一杯だし? サワー一杯で 2,500円とかありえ無いし! 腹減ったし!!  週末の混み合う終電で、私は空腹のためイラついていた。自宅、最寄り駅に着いても、この時間では既にバスも走っていないだろう。これは田舎あるあるの話だ。  ただいまの時刻、22時45分。娘も明日は予定があると言っていたので、おそらく寝ている事だろう。お迎えは期待できない。仮に娘にお迎えを頼んだら、タクシー代より高く付きそうだ。  こりゃ諦めてタクシーだな…。  ○○駅に着き、改札を抜ける。エスカレーターまでの長い行列は、タクシーも行列している事を予想させる。  最悪だ…。  私の目の前を歩く男性もきっとそうだ。タクシー乗り場に行くに違いない。  歩き方は軽やかだが、行列の具合にイラついているようす。  この男性は私と同年代だろうか? 綺麗な茶色がかった長い髪をうなじ辺りで縛っている。  西部劇でよく観る、濃いベージュ色のカッコいいロングコートを身に纏う男性。背は180cm以上ありそう。私の身長は158cmなので、見上げる形になる。  そんな彼のたまに見える横顔に、私は目をそらせないでいた。    下りエスカレーターに乗り、彼のうなじがよく見える。  すると、突然振り返る彼。どうやら私からの気持ち悪い視線に気付かれてしまったようだ。  ばちん!!  彼と目が合う。  猛禽類のような鋭い目つきの男性。    ヤッバ! イケメンすぎ…。  その男性が私に向かって話しかけてきた。 「あれ? 小山田おやまだ?」  そうですとも。私の旧姓は小山田ですよ。  ん? ・・・って誰? 「うん、小山田。」  やべ!? 語彙力なさすぎだっちゅーの! 「ああ。俺の事なんて覚えてねぇか。俺って今以上に影薄かったからな。小山田はタクシーだろ? それじゃ。」  エスカレーターを降りると同時に、彼はスタスタとロッカーの方へ歩いて行った。  どんどん長くなるタクシーの行列をよそに、私は彼の姿を見続けている。  ロッカーからヘルメットを取り出した彼は、再び私の視線に気がついたようだ。  ヘルメットを片手に私に歩み寄る彼。 「どうしたの? お金が無い的な感じ?」 「うん。」 「今はほとんどのタクシーがクレカ使えるから大丈夫だと思うよ。」 「カードも無い。てかお財布が無い。」  嘘ついた…。  お金もあるし、クレカもある。それどころかお財布じたいがバッグに入っている。私の自慢のPRADAのお財布だ。忘れる事など有り得ない。 「寒くてもいい?」  どういう意味だ? 「寒さには…強い…よ。」  なんで私は片言な喋り? 「それじゃこっち。」  そう言って彼は歩き始めた。  私も彼に続き歩く。  脚のリーチの問題か、彼の歩幅は異様に大きい。交互に出す脚のスピードはゆっくりだが、私は競歩状態。たまにトテテテっと早足になる私を見て、彼が言う。 「どうしたの? 酔っているのかな?」 「飲んだのは一杯だけ…。グルンブ…。サワーだけ…。」  優しい口調の彼に対し、私の喋りはカミまくりの異星人だ。  そんな会話をする中、市内では有名なケーキ屋さんの前に到着。 「ここのお店のオーナーと知り合いでさ。バイクを置かせてもらったんだ。はい、これ娘のメットだけど、無いよりマシでしょ? あとグローブね。その手袋じゃ滑るから。」  クリーム色のヘルメットを私に手渡す彼。いい加減、名前を聞かなきゃ。 「どうしたの? メット被んないと乗れないよ?」 「名前…。」 「ああ、Nortonノートン Commandコマンド。」  それバイク! それってバイクの名前でしょ? 多分だけど。 「そう…なんだ…。カッコいいね…。」  うわぁ。なんだか私ってキモいかも…。 「ところで家はどこら辺?」 「国道のマックの近く、の大きい公園の近く、に川があって、○○の近く。」 「○○の前でいい?」 「のとこから、市役所の方に向かう途中にあるレンション。」 「レンション?」 「マンション…です。」 「オッケー。」  なんだよレンション!? 「それじゃ走るよ。」 「ムン。」  なんだよムン!  ウンって言えよ!!  ってふごぁ!!!  突然走り出すバイク。  そしてすぐに信号で止まった。 「お尻の下あたりに、グリップバーがあるから、それをつかむと楽だよ。」  え? お尻の下?  どこだ? 「いやそれ、俺のお尻だから。自分のね。」  恥ずーーーーーーっ!!  どこだよ?  あった! コレか?  って、ふごぁっ!?  信号が変わり、走り出すバイク。  何これ!  楽しいんだけど!?  気持ちいいんだけど!?  カーブ怖いんだけど!!  メチャクチャ楽しいんだけどぉ〜!! 「着いたよ。」  ゆっくりと止まり、エンジンを停止させる彼。 「えっ? もう?」  もっと乗りたい。 「つーか、小山田うるさい。子供みたいに騒ぐなっつーの。恥ずかしいから、早く降りて。」  声に出ていた的な?  大声で叫んじゃった的な?  ヤバいんだけど!  私からヘルメットを受け取り、それを後部座席のホルダーにかける彼。 「あの、ありがとう。また会えるかな? お礼したいし。」  騒いじゃったのを怒っているかな…。 「近所に住んでいるんだから、見かけることぐらいはあるんじゃない? 」  ニコッと笑いながら言う彼。どうやら怒ってはいないようだ。 「お礼は気にしないで。それじゃおやすみ。」  そう言って彼は走り去った。  マジか!  イケメンじゃねぇか!  同級生だよな…。  また会いたいな…。  でも、娘がいるって言っていたから、既婚者か…。  ダメじゃん…。    自宅マンションのエレベータに乗る私。  エレベーターを降り、玄関に入ると娘が立っていた。 「ねえママ? 今のは誰ですかぁ〜?」  楽しそうに私に聞く次女の華乃はなの。 「ああ。同級生よ。見ていたの?」 「あらあら? 今日は会社の飲み会じゃなかったのかなぁ?」  リビングで私にコーヒを淹れながら、私に質問攻めをする娘。 「綾乃あやのは?」 「綾乃も起きているよ。今ね、さっき撮った写真を拡大して、ママの男の趣味を解析中。」  ちょっ!? 「こら綾乃!」  私は娘の部屋に、写真を削除するよう向かった。  綾乃の部屋に入ると、すでにPCに取り込んでいる。 「あっママお疲れぇと、お帰りなさい。」 「綾乃! 写真を削除しなさい!」 「うん。削除するけど、その前に見て。ヤッバイじゃん。めっちゃイケメンじゃん。」  モニターに映る先ほどの男性。 「あらやだ。こうやって見ても、本当イケメンね。」 「きゃー! なになに? 恋っすか?」  盛り上がる長女の綾乃。  私と綾乃の会話に、妹の華乃がコーヒーを持って入ってきた。  そして、「名前は?」と聞く華乃の質問に、私は答えられずに黙っていた。送ってもらったのに、知らないとは言えなかった訳だ。 「いいじゃぁん、名前ぐらい教えてよぉ。」  甘えた口調で私に言う綾乃。 「わからないんだよね…。向こうは私の事を小山田って言っていたけど…。」 「ウケる! 何それ!」  笑う華乃。 「あっ。そう言えば、ママに来ていたよ。」  そう言って、綾乃が玄関から郵便物の束を持ってくる。色々と届くDMや案内状を振り分け、一通のハガキを見つけた。 「あった。これこれ。」  綾乃から渡された、往復ハガキ。  そこには   第30期生 ○○○中学校 同窓会 案内状  と書かれていた。  なんだか違和感を覚える。 「近所だったら会えるんじゃん? もしかしたらだけど。」  そう言って華乃は出席に丸を付けている。 「だねだね。お父さんとも離婚が成立したし、ママの第二の人生の始まりだね。」 「だねだね!」  盛り上がる娘たち。  まったく、向こうは既婚者だし。私には関係ないんだけどね。  でも。もう一度会って、きちんとお礼ぐらいしないと。    ん?  あれ?  ここって実家じゃないし、何で私がここにいる事を知っているの?  しかも、横山(旧姓 小山田)って、中学の同級生を結婚式に呼んでいないのに…。  誰も私が横山だとは知らないはずだよね…。  幹事の、(株)同窓会屋さん って、めちゃくちゃ怪しいんだけど?  これって、大丈夫なの?

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