「焼き肉カレー美味しい」 「私のシーフードコーンバタートッピング、ナムルも添えてカレーだって美味しいよ」 「あなたたち……」 少しずつ盛って食べたら良いのに、なぜ全体にぶっかけて独り占めしてしまうのだ。 と小言も口にできず、グンと減ったおかずたちに、食べるために作ったからまぁ良いかと思うほかなかった。 律夏は小皿に少しずつ取って置いて良かったと、一人でバイキングを楽しむスタイルにシフトチェンジする。 姉妹に忘れられているお味噌汁は、一先ず最初の一杯がここにあるからいいとし、ウィンナーを一本と佃煮を少量小皿に移した。 あとは、炊飯器のご飯を食べるため、すき間を空けて置かなければならないと、ゆっくり咀嚼した。 「そうだ。次に食べ比べするなら、持ち寄りパーティーにしましょう」 「なにそれ?」 手料理を持参してお宅訪問すれば、もてなす側も普段とは違った味わいを楽しめ、おかずも一品増え、お互いに気負わないお手軽さが生まれる。 今回は要請からの作業となったが、各自で準備となれば自身で考える楽しみも生じるだろうと、律夏は口角を上げた。 「……面倒くさい」 「わたしのリクエストは、肉じゃが」 「えぇ……律夏の作り慣れている料理じゃん。わざわざ人に作って貰って、嬉しいわけ?」 「だからこそ、食べたいんじゃない!」 なにを言っているのだと怪訝そうな表情を浮かべる琴音に、律夏はハッとなにか思いつきピンと背筋を伸ばした。 「美桜はポテトサラダ、お願いね」 「うん!」 カレーに夢中だった美桜は会話など聞いてはおらず、名前を呼ばれ大きな返事をした。 味方をつけたなと半眼で律夏を睨みつけたが、スッと背筋を伸ばし琴音はニタリと笑った。 「ふふふ。そうか、そうよ。そうよね。わざわざ私たちにリクエストをしてきたってことは、律夏にもリクエストしても良いってことだものね?」 「あら。気づいちゃった?」 「ジャガイモを使った、パンを作って!」 一瞬フリーズし、律夏は首を傾げた。 「おかずになる?」 「食べてみたいから、なる!」 「それは好奇心という名の、食い意地なのでは?」 「そうとも言う!」 フンと満足そうに腕組みをすると、鼻息を荒くした。 些かの面倒臭さを覚えつつも、ポンと手を叩く。
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