「せっかくなんだしニョッキのクリームソース、ジャガイモのガレット、ジャーマンポテトとか、メインにもおかずにもなりそうなものの方が良いと思わない?」 腕組みをしたまま口を尖らせて天井を仰ぐと、右に左にと首を傾げた。 興味のあったジャガイモが練り込まれたパンを取るか、魅力的な料理を取るか。 うんうん唸る琴音にクスリ微笑むと、律夏は指を二本立てた。 「二つまで。リクエストを二つまで受け付けましょう」 「よしっ!」 再び腕を組むと天井を仰ぎ、あっと口を開くと腕をほどき、カレーライスをのせたスプーンを口内に運ぶと、もぐもぐ咀嚼し、ごくりと胃に送り込んだ。 「コレだ!」 スプーンを持ったまま皿から体を離し、琴音は目を見開いた。 「もう決まったの?」 佃煮に箸を伸ばしながら律夏は顔を上げ、口内に納めた。 「うん! カレーとパン!」 「それだったら、素揚げの野菜とローストポテトを別で作って、野菜がメインのカレーとパンを合わせながらでも、ご飯が何杯でもおかわりできちゃうわね」 「パンにご飯をはさめば、立派なおかずにご飯はなる!」 「えぇ。琴音に不可能はないわ」 ご飯がメインのはずが、ご飯がおかずになるとはと、律夏は満面の笑みで受け流すことにした。満腹に近づくにつれ、ツッコむことに些かの面倒くささを覚え始めていた。 「お姉。今度はナンが食べてみたい」 「それも楽しそう! カレーも何種類か作って、色々なものにつけて食べてみよう」 「うん!」 ほのぼのとした会話の頭上に、満面のわたしが浮いて見えているが気のせいだなと、律夏は無言のまま目を細め箸を運んだ。 腹ぺこ虫たちが静かになってきた今、もう洗い物は任せて解散しても良いのではないかとさえ思い始めている。 あとは、姉妹で勝手に食ってくれとも言えず、律夏は茶碗を空にした。 「さぁ。最後、つや姫さまとのご対面といきましょうか」 ずっとしゃべっていたが、食べ終わるとなると誰よりも早かった琴音。 食べている最中ともあり、律夏と美桜が会話している間も意気揚々としゃもじを手に炊飯器の前を陣取った。 当然ではあるが、琴音は独り言。 もしくは、話し相手の炊飯器に満面の笑みで語りかけ、身構えを見せつけた。
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