作品に栞をはさむには、
ログイン または 会員登録 をする必要があります。

もうどれだけ時が経ったろう。未だに、私に救援は現れそうにない。私自身、救援が来るなどという希望を諦めつつある。 私たちは、民間が請け負っている調査の人員として違う星に調査に行くはずだった。メンバーは、技師のロバート、コックのヒュー、そして地質調査専門員の私だ。しかし、宇宙船は全く違う星へたどり着き、私達は遭難した。最初の頃を覚えている。私達は、まだ楽観的だった。ロバートは、真面目な性格に似合わず折角のバカンスだと言って、ヒラヒラした衣装を着て踊り、私達を笑わせたり、ジョークばかり言っては皆を和ませた。ヒューも腕を奮って料理をしてくれ、私は私でこの辺りでは金が取れることが調査の結果わかったので、この星を発見したのは私達なのだから、私達には金の所有権がある、救援が来た暁には私達は金持ちだなどと言って、二人を励ました。 しかし、この星に潜む謎の生物の襲撃によって、ヒュは死んでしまった。一番若いメンバーであるヒューを喪ったことと、奴らの襲撃を逃れるために宇宙船から最小限のものだけを持って逃げなければならなかったことは、私達二人に大きなダメージだった。幸い、大気比は地球とさしてかわらずら、食料も、僅かではあるが奴らの目を盗んで採集できた。が、しかし、ロバートはこの単調な生活にうちひしがれ、謎の生物たちには全く効かなかったレーザー銃で自分の頭を撃った。ロバートの最後の言葉は、「ロブ、一人にしてすまない」だった。それから私は一人になり、生き延びた。なぜか?それは私には彼と違い、帰りを待つ妻子がいたからだと思う。妻子を残して、私は死にたくなかった。 最初の一年目私は金を掘り出し、それで立派なカレンダーを作った。地球基準のものと、この星基準になりえるものを。この星では、太陽は二つあって、惑星はどうやら肉眼でみえる限りで3つ、月が二つある。 私達を捕食する奴らは、恐らくは宗教的な理由から、この星々の運行に従っているらしく、その複雑怪奇な 行動様式を学習することだった。この星では、地上は奴らが支配している。だから私は地下に隠れ、やつらの隙を突いて動く他なかった。 次にやったことは、この穴ぐらの居心地を良くすることだ。私は奴らの隙を縫って宇宙船から色々なものを持ち出した。 まず、救援を呼ぶ装置。それから、最低限の身を守るための装置。それに、寒暖差に備えての装置。それぐらいしか、無事なものはなかった。 いや、最低限の装置があっただけで十分幸運だった。太陽が二つあるせいでこの星は強烈に熱く、かつ、夜は寒い。それに、奴ら以外にも危険な生き物はおり、食糧としての動物(?)を狩らねば生きられないし、そもそも救援がないなら、私も多分、ロバートの後を追っていたと思う。 程なくして、私はペットを飼い始めた。 犬のように賢く、私の唯一無二の親友となってくれる動物が欲しかったが、残念ながらそのような動物を飼うのは非常なコストがかかるため、トカゲのような生き物を捕まえて飼った。一見ヌメヌメとして気持ち悪いが、よく見るとなかなかに可愛らしいところもある。虫を食う仕草がダイナミックで良い。 温度や湿度など、少し手間が掛かるところもまた保護欲をそそる。 私は、仲良く寄り添っていた二匹をロバートとヒューと名付けて、二人の生まれ変わりのような気持ちで接していた。 それとは別に、私は頭の中でのごっこ遊びに熱中した。 私は、地上ではなす術なく奴らに狩られてしまうほど弱いが、地下では無敵だ。そこいらを掘って棲家を拡張すれば、黄金は次から次へと湧くように出てくる。 私はその柔らかな黄金を加工して、さまざまなものを作った。 まず、私の愛おしくて仕方のない妻と子供。次に、職場や家庭の近くの風景のミニチュア。 私は専門家ではないから決して上手くはないが、そこにないよりはマシだと自分に言い聞かせる。 そうすると、この地下は私の王国となる。私は、私の王国で精神を養い、王様になる。虚しいごっこ遊びだが、ないよりはマシだ。

応援コメント
0 / 500

コメントはまだありません