死神たちのリバ☆ゲーム
ディープ・クリムゾン・サフラワー④

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 それにしても、やっぱりここは、昔の日本なんじゃないだろうか――  そう思えて仕方がない。しかしルースの説明では、そうではないようだ。  あの女性は俺の言うことが理解できるようだ。彼女の言葉も、確かに何やら古めかしいが、最初聞いた印象とは違い、古語というほどのものではない。  そうか!  突然、俺の頭に理解という名の天使が舞い降りる。  あれだ。平安貴族の生活を体験しよう! みたいな。  うん、絶対違うよな。ああ、天使が空へと還っていく…… 「はよ」  御簾の中から急かす声が聞こえてきた。初対面なのに、随分と上からだ。  俺は、サンダルを脱ぐと、木の階段を上がり廊下っぽいところ(ひさしというのだが)に立った。 「お邪魔、します」  三つあった内の向かって右側の御簾を下から巻き上げていく。部屋の中から月を見るなら、その方向に見えるだろうと考えてのことだ。  んー、俺ってジェントル。  外と中は御簾だけで仕切られている。寒くないんだろうか。あ、だから毛皮を着ているのか。 「よい」  御簾を巻き上げて固定したところでまた声がかかる。振り返ると、彼女は扇子で顔を隠したまま、座って月を見ていた。  黒く美しい髪が床に広がっている。手入れが大変そうだ。  彼女が俺を睨むように眉をひそめていたので、俺はわたわたと部屋から廂へと出て、そのまま庭の方に向いて腰掛けた。  叫ばれるとか、追い出されるということはなさそうだ。しかたない、ルースが戻るのをこのまま待つとしよう。  ってか、戻ってくるのか、ちょっとだけ心配だ。うん、かなり。  この場には微妙な空気が流れている。成り行きでこうなってしまったのだが、そもそも俺は人に会って何をどうしようというところは全くの無計画だった。  それに初対面の女性と気軽に話ができるほど、俺の対女性スキルは高くない。というか、ほぼゼロなんじゃないだろうか。  こういう時は落ち着いて、目的を再確認するのがいい。とりあえずの目的、それは情報集めだ。何気ない会話から糸口をつかみ、話を弾ませて、様々な情報をぺらぺらと喋ってもらおう! 「きょ、今日は冷えるね」 「別に」  ……嫌な予感しかしない。 「つ、月が綺麗、だね」 「満月は、好かぬ」  おい、待て。お前、月を見てるって言ってただろ。 「ああ、なるほど。『花は盛りに、月は隈無きをのみ見るものかは(満開の桜や満月だけを見るもんでもないよ!)』と言うしね!」 「欠けたる月など、さらに好かぬ」  じゃあ、なんで月を見てるんだよ。 「えーと、じゃあ、一番好きなものは何?」 「価値無き話などせぬ者」  ……オワタ……話がオワタ……これ、なんの罰ゲームだよ。俺が一体何をした。  話が弾むどころか、糸口すら見えない。どこぞの神様仏様よ、蜘蛛の糸でいいから垂らしておくれ。そしてこの地獄から俺を救ってくれ……  そういや、あの使えない召喚獣はどこへ行った。  もう帰ろうか……

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