死神たちのリバ☆ゲーム
十六夜の月に濡れて⑧ ☆

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 細く、頼りなげではあるが、すべやかな肩。微かに、柑橘系の香りがする。それが、お香の匂いなのか、それとも彼が生まれ持った匂いなのか、それは俺には分からない。  ただ一つ言えるとすれば、彼の顔や瞳、この肌の感触や匂いは、確かに、俺の魂を震わせていた。  彼が『彼』であるということが、もはやちっぽけなことのように思えてくる。俺は本能の――いや、魂の要求のままに、彼の肩から首筋へと舌を這わせた。 「良いのか」  ふと、彼がそうつぶやく。その声までもが俺の魂を震わせるが、その言葉の指し示す意味が分からない。 「何が、かな」  思わず聞き返した俺の言葉に、宮様は少し寂しげな表情を見せた。 「我は『をのこ』なるぞ。そなたは、それでも良いのか」  どこかで拒絶されるのなら、早い方がいい――宮様は、俺の理性を引き戻そうとしている。  俺は動作を止め、そして俺の中の理性が、魂の欲望に屈服したままでいることを、冷静に確認した。 「宮様こそ、いいのか。俺に抱かれても」  そう訊き返してみる。その問いかけに、宮様はふっと、表情を緩めた。 「我は女子として育てられた故、殿方に抱かれるは、本意なるぞ」  その答え、俺の聞きたかったことじゃない。 「いや、その、俺でいいのかなって」  その問いは、余りにも卑屈に過ぎるだろうか。しかし宮様は、悲しげにもうれしげにも見える目で俺を見ながら、俺の顔へと手を伸ばした。 「そなたが……コノエが、よい」  少し冷たい手が、俺の頬を撫でる。まるでその手に引き寄せられるように、俺は宮様に顔を寄せた。それが当たり前のように、彼が軽く口を開け、俺を誘う。  自然と、二人の唇が合わさった。絡み合う舌と舌の感触を、さっきよりも確かに感じる。それが絡み合うほどに、俺の中にあった抵抗感が薄れていく――それは、背徳という名の錯覚だったのかもしれない。  こんなにも彼のことを愛おしく感じるのは何故だろう。俺は夢中で、宮様と舌を絡めあい、そして、彼の唾液を飲み込んでいく。  彼の体に手を滑らせると、合わせた口の隙間から、宮様の声が嗚咽のように漏れ出てくる。その度に、宮様は恥ずかしそうに体をくねらせた。  その仕草が、さらに俺の魂に火をつけていく。もっと、もっと、彼の声を聴きたい。肩から胸、そしてその先端についた小さな蕾へと指を這わせた。 「は、はぁ」  宮様が熱い吐息を漏らす。そして、俺の口から離れると、自分の指を口にくわえた。 「宮様?」  思わずそう呼び掛けると、宮様が少し苦しそうな顔を見せる。 「わ、我の声など、聞きとうはないであろう」 「そんなことないよ。もっと、聞かせて欲しい」  そう答えてから、今度は、宮様の露わになった胸へと顔を寄せた。差し込む月明かりに、胸の蕾が薄く浮き上がって見えている。その周りにゆっくりと舌を這わせた後、その蕾の先端を軽くかんだ。  軽い悲鳴は、嬌声ともいえるほどに艶を含んでいる。宮様の手が、俺の頭を抱えこんだが、俺はそのまま愛撫をつづけた。  それにつれ、我慢しきれなくなったのだろうか、宮様の漏らす声が少しずつ大きくなっていく。その旋律を聞きながら、俺の手は自然と着物の中のさらに下へと進み、そして宮様が『男』である証へと辿り着いた。  思わず、唾を一つ飲み込む。  そのモノに触れれば、もしかしたら俺は、『我に返る』かもしれない――    頭のどこかで、そう思っていた。しかし、思ったより大きく、そして痛いほど硬くなっていた宮様のモノに触れても、拒否感は感じなかった。いや、それどころか、さらに一層、宮様への愛おしさが募っていく。  感じてくれてるんだ――  軽く握り、少し動かしてみる。宮様が、切なげな声を漏らし、そして体を反らせた。  そこで俺は気が付いた。知らない内に、俺のモノまで硬くなっていることに。  もちろん、それは自分でも驚きであったが、それと同時に、その次のステップを想像し、そして重大な『ある』ことに気が付いてしまった…… 「あの、あのさ、ごめん」 「い、如何した」  動きを止めた俺に向けた宮様の顔には、絶望にも似た表情が漂っている。しまったとは思ったが、しかし、このまま続けるわけにはいかない理由があるのだ。 「や、やはり、我とは……」 「違う、違うんだ。あの、あのね、その、ど、どうやって、その、『する』のかなって思って」  宮様は俺の質問に、今度は顔いっぱいにハテナマークを飛ばしている。 「『する』とは……な、何を……ぞ」 「いや、その、ほら、あの」  アレとかソレとかで通じるだろうか。しかし、俺が言いよどんでいる様子に、宮様も俺の言いたいことに気が付いたようだ。  また顔を真っ赤にしながら、慌てた様子で視線をうろうろさせ始めた。 「わ、我も、初めてのこと故……し、知らざるに」  などと言いながらも、宮様は体を起こし、露わになったままの肩に単衣を掛けると、どこまでも暗い部屋の隅から小さな水差しのようなものをもってきた。 「こ、こを使うべしと、教えられしぞ」  そう言って俺にそれを差し出す。 「これ、何?」  軽くゆすってみると、ちゃぷという水音が聞こえた。 「菜種より取りし、油、なるに」  そう言うと宮様は、恥ずかしさのあまり、顔を手で覆ってしまった。  ……キャ、キャノーラ油!?

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