トンネルを抜けると、そこはあやかしの駅でした。
閑話休題 その4
「白妙さま白妙さま! まさつきのところに膏薬持ってってやったよ!」 「おおすまんなチビたち。きちんと作ることができたのか。えらいぞ」 「白妙さまに言われたとおり、温泉のとこにひっついてる卵臭い石に、ミミズの黒焼きを煎じたのを混ぜて……」 「……おい、わしはミミズの黒焼きとは一言も言ってはおらんぞ」 「弟達がな、ミミズは万病に効くって言ったから出したんだ」 「うん……ミミズっておねしょに効くから、怪我にもいいかなと思って」 「マジか……おぬしら、他に何を入れたのじゃ⁉︎」 「え……っと、ガマの油にドクダミの葉をすり潰した汁を……」 「ちがーう! ドクダミは花の煮汁と言ったであろうが!」 「あいつが花より葉っぱの方がいいぞって……」 「おいこらウソ言うな! 花はダメって言ったんはお前だろ!」 「こらこら、こんなところでケンカはやめい! で、出来上がりはどんな色と匂いだったか、素直に話せ」 「え……と、まさつきのやつ、すごく顔をしかめとった……」 「や、やはり……」 「どういう事じゃ白妙さま。おれたちが作ったのは怪我に効く薬じゃなかったんか?」 「大馬鹿者!!! 全っっっ然違うわ!これは水虫の薬じゃ!」 「え……それじゃまさつきの鼻にあれを塗っちまったら……」 「あ、いや、違うか。これだと花粉症かな……それとも夜泣き疳の虫の薬だったか……」 「ふーん……。白妙さまの記憶も意外と頼りにならねーな」 「うぬぬ……」
応援コメント
コメントはまだありません