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 ふと窓の向こうを見ると、我が家の小さな庭が見えた。  立ち上がって窓のそばに寄ってみるとピンク色の花の鉢植えが並んでいた、あれはシクラメンだ。母の好きな花で、毎年咲くことを楽しみにしていた。  幼い頃の私は、「花はいつのまにか咲くもの」だと思っていた。それを母に話すと、母は私に微笑みかけながら「そうじゃないんだよ」と言った。  花は咲いて、咲き誇り、いずれ散ってゆく。そこで終わることはなく、木に宿る記憶が新たな花を開く準備を始まるのだと。いつのまにかではなく、すべては繋がっているのだと。  曖昧に頷いた私は、何に頷いていたのだろう。母は私の頭に優しく手を置きながら「いつか貴方にもわかる日がくる」と言ってくれた。 「すべては繋がっている、か」    あれからどれだけの月日が流れたのか、もうわからないが、今になって、やっと母が言いたかったことわかったような気がした。すべては繋がっているの意味を。 「よし」  私は一つ頷き、埃のにおいがする和室を出た。

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