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 予感はいつも、突然に。  『予め感じる』ことを『予感』と呼ぶのは知っているけれど、私の場合、ことのはじまりに気づくことが多い。   「佳織?」  私の名を呼ぶ友だちの声が遠くに聞こえる。  膝をつく感覚のあと、頬が絨毯敷きの床をこすった。  ……倒れたんだ。  誰かが肩を揺さぶっている。そんなに揺らすと痛いよ。  文句を言おうとしても口は開いてくれない。体中の血が流れ出るような脱力感が襲っている。  くたびれた絨毯の毛先が徐々にぼやけるのを見てようやく、予感はそばにあったと気づく。  今朝の大学での会話。  廊下を歩くとき。  バイト先でのこと。  たくさんの予感を見過ごしていたことに今さら気づいても遅すぎる。  後悔する時間もくれず、世界はどんどん黒色に染められていく。    またあの夢を見るんだ……。  「……いやだなぁ」  意識を失う寸前、やっと出た言葉もテレビ画面を切るようにぷつんと途切れた。    そこから先は、闇。

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