ヒトデナシ
5 - 2
ある蒸し暑い夜、ライブの帰りに佳苗を居酒屋へ誘い、お酒を飲ませた。上機嫌な佳苗は酔いが回るのが早かった。 千鳥足の佳苗に肩を貸して店を出る。薄暗い路地に差し掛かると呂律が回らない声で「水が飲みたい」と言った。路地の先に見えた公園へ連れて行き、ベンチに座らせる。そしていつも携帯している水筒の水を佳苗に飲ませる。 飲んでいる途中で異変に気づいた佳苗が暴れたが、頭を押さえつけ、農薬入りの水を無理やり全部飲ませてやった。 殺して殺しても、また彼は新しい女を作る。 その新しい女たちも殺してやろう。 最後に乗るのはわたしなんだ。 彼はわたしのものだから。 わたしだけの。
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