ヒトデナシ
血の収穫 1 - 1

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「ちょっと、ねえきみ」 夕食の準備をしていた陽菜ひなは手を止めた。彼女を呼んだのは夫のいつきである。 「なあに」 「これはなんだい?」 夫は床に置いたダンボール箱を指差していた。 「ごめんなさい。すぐに片付けるわ」 「いや。そうじゃなくてさ。伝票に『まい農園』と書いてあるけど」 「いつもそこで野菜を買っているのよ。無農薬で有機農法の農家さん。前にあなたに言ったわよね」 「そうだっけ」 「うちで使う野菜はそこでしか買っていないの。忙しいから忘れちゃったのね」

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