恋愛 全4話 完結済み 第1回ステキブンゲイ大賞応募作
父が顧問をしていた資産家の河菜氏が急逝した。故人の遺産を相続するのは唯一遺された一人娘の舞衣だった。たまに父の仕事を手伝っていた僕は、父から指定された時刻に指定されたワインバーで彼女と会う。既に何もかも仕組まれていたことを知らずに。 *10月22日、『編集者高橋奨吾の「小説読みます!」』でご指摘いただいたワンポイントアドバイスを受け、『錨泊』を修正しました。 第2回「この一文に続け!」参加作品。第1回「ステキブンゲイ大賞」応募作品。

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蒲場六月 2020/10/11 05:03

本作は独特な設定になっている。 主人公の抱えている病気が、重要な意味を持つが、序盤に仄めかされるだけ。 この辺の説明的すぎないバランスが、想像力をかき立てる。 主人公は、河菜が自分を求める理由を、ある“問題”で片付けようとする。しかし、そこには、彼女自身の痛みを和らげたい深層心理があったのかも。そう考えると悲しみを伴っている。 私の解釈だが、主人公の父親には更なる思惑があったのでは? 主人公は、父に対して「シンプルな気遣い」だったと述懐する。 しかし「数字は嘘をつかない」のもまた真理。 二人が結ばれることで生じる利益も忘れてはならない。 上記の解釈だと、作品の見方が変わる。 タイトルに騙されがちだが、彼女もまた被害者の側面が垣間見える。 作品の構図から見えてくるのは、病気を搾取する健常者の姿かもしれない。 権謀術数飛び交う大人の世界では、病気や障害を抱える者へ、優しく寄り添うことはしない 幸福を求めながらも、利用される姿は痛々しい。だが、主人公の優しさが救いになる。 そして、主人公が優しさを発揮するのは、彼女に対して共鳴したからだろう。 想像が膨らむ小説ですね。