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「死ね八百長野郎」  どさくさに紛れて田口が叫んだ。試合中の両者を含めて誰も反応しなかったが、彼はその後も仲間と一緒に花森へのブーイングを続けた。 「動物虐待野郎」  これには花森も表情を変え、振り返った。  以前の田口と城島の密談が思い起こされた。花森がもらったばかりの生徒手帳にしまっていた、犬の写真もまた脳裏をよぎった。  隙にじょうじた城島に腹を蹴られ、花森はかがみ込んだ。その両腕を右から順に肘の裏で固定する城島。ゆったりとした動きが、ここが見せ場なのだと明確に伝えた。  だが花森は腕のロックを強引に外した。頭を城島の股の間に入れ、そのまま城島もろとも上体を起こす。巨体が宙に浮き、城島は背中から床に叩きつけられた。  花森の視線が再度田口をとらえた。

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