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 花森の派手な動きに反して、田口は吹っ飛ばされたりはしなかった。ただいくらか後退して尻餅をついた。 「すげえ」と周囲がざわめいた。見ると廊下もよそのクラスの生徒たちで溢れていた。実際花森がプロレスを実践してみせたのは、僕の知る限り初めてだ。  一方で治田は仁川さんを抱えて一悶着起こしていた。保健室に行く、行かないで揉めているらしい。  そのうち急に辺りがしんとして、先生がいると気づいた時にチャイムが鳴った。折悪く次は、花森を目の敵にしている金沢先生の授業だった。 「何だこれは。やったのお前か」  どこそこに倒れた机を指差し、先生は花森を睨みつけた。 「さっさと答えろ。お前の他に誰がやる」  田口をやや乱暴に立ち上がらせる先生に、花森は「はい。僕です」と頭を下げた。

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