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 一週間ぶりに花森がクラスに姿を現した。「おはよう」と手を挙げる仕草も、屈託のない笑顔もこれまでと変わらない。  だが級友の多くは当惑していた。治田が真っ先に挨拶を返したが、後が続かない。  教室全体の空気が淀み、喜びもあざけりも各グループの内側で滞っていた。  花森にしてもクラスのチャットの一員だろうから、自分を無視しようとする流れがあることは知っているはずだ。だが彼は意に介していないように見えた。  皆が誰かの次の一手を窺いつつ愛想笑いを浮かべているように思えた。  僕は花森に「おはよう」と声を上げた。彼はにこやかに応じた。  遠くから咳払いが聞こえた。田口がこちらを睨みつけている。  田口だけではない。僕は大勢からの視線に囲まれていた。

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