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紅と黄の枝葉が茂る、樹々に守られた女神の楽園くに。 その深い深い林の奥へ、黄金きん色の角を頂いて、 一頭の白い毛を持つ鹿が、地を彩る葉を踏みしめる。 迷いなく進む青銅の蹄、黄金きんの大樹の前で止まる。 葉を透かし降る陽の光を、さも快いと仰ぎ見た。 そして今度はゆったりと、自らの前へ頭こうべを垂れる。 白く輝くその毛並みを、女性の指が優しく撫でた。 己おのが力宿す愛の実を、 たずさえ帰った人の子の、 こころ正しき行いに、 美しき主人あるじは微笑んだ。 ——完
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