何ができるだろう。 その答えは、颯人とちゃんと向き合う。その一つだと感じた。 だから俺は怪我を覚悟でセフレ達を呼び出す事にした。 まずは怪我が浅くで済みそうな女の子達から……。 そう思い、纏めて連絡を入れてから数分で彼女達は現れた。 「なーにぃ?こんな時間にこんな所に呼び出して」 一人の女の子が口を開く。 それを切り口に其々が、帰りたい、早くして、めんどくさい、他の人はだれ?、翔の何?と口にする。 「こんな時間にごめんね。今日はみんなに話が合って呼んだんだ」 「みんな?……って?」 察しの悪い子だなぁ、なんて内心毒付きながら笑いかける。 だからいつまでもセフレ止まりなんだよ。 「君も、君も、君も、君も、君も、君も、君も。」 女の子一人ひとりに近付き、頬、髪、手の甲、おでこ、まぶた、唇、首筋にキスを落としてゆく。 「みーんな俺の彼女」 そう潔く口にすれば一人の女の子が涙目でキッと睨み頬にビンタをかます。 パンッと、肌を打つ冷たい音が公園に響き渡る。 お、思いの外いってぇー! それをきっかけに次々に彼女達は最低、と口にし頬を打つ。 中には金的、腹パンをかます子もいた。 仕方がない。自分は自分の利益のために利用し、この子達も、颯人も、様々な人を傷つけた。 それでいい。最低だと罵って立っているのもやっとのぐらい痛めつけてくれて構わない。 当然の報いだろう。 全てが終わった頃には誰もおらず、気が付けば自分一人になっていた。 でもこれはほんの始まりに過ぎない。 こんな所でくたばっている訳にはいかない。 ベンチに腰掛け蹲っていると足音が近付いてくる。 一番命の危機がある方を後回しに、と時間をずらした男達が来てしまったのだ。 あー。最悪。逆にすればよかった。 「なになにー?翔ちん。こんな所にみんな呼び出して回されたいの?」 「は、は。それもいい、っすね。」 そんな声にそう笑い返せば相手は全然、笑っておらずその表情は怒りで満ちていた。 どうやら彼らに説明は不要らしい。 「みんなお前の彼氏らしいな?」 そう言った彼は俺に近付き身体をヒョイと持ち上げる。 「良かったな。ここのトイレは広いみたいだぜ。みんなで可愛がってやるからな。」 「これ、で。さいごにし、て、もらっても、いいっ、すか?」 「生きてたらな」 冷たい声に血の気が引く。 あぁ、最後に颯人に会いたかったな……。 あいつにまだごめんも、ありがとうも何も伝えていない。 最後の晩餐が颯人の飯で良かったな、なんて。 なんか俺、颯人のこと好きみたいだな。 「ふ、ふは、ははっ」 抱き上げられ漏らす様に笑うと訝しげな表情の先輩と目が合った。 「あなた達に今から触れてもらえるのが嬉しくて」 長い長い夜はこの声を境に始まった。
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