なにこれ? つまんな。もう、終わったし。 てか、こういう系の動画嫌いだわ、あたかも自分が悲劇のヒロインって感じがする。でも、こいつ男だからヒーローか? 握っていたスマホをベッドに投げた。 夕方と夜の間みたいな時間。明かりをつけていない部屋は薄暗く、せつない感情になる。窓越しに見える消えていく太陽と一緒に自分も消えてしまいたかった。開いただけで一つもやっていない課題が嫌でも目に入る。課題を視界に入れないようにベッドに入り、さっき投げ捨てたスマホをまた握る。 「わたし、なにしてるんだろう?」 布団の中で自分に問いかけたが答えが返ってくるわけがない。 ずっと、このまま布団にもぐっていたい。何もせず、何も考えずに。 でもそんなことは、無理だ。明日は学校だし、このままもぐっていたって脳裏には嫌な記憶が再生される。 「いいことなんて一つも起きないね」 ベッドサイドに転がっていたぬいぐるみに話しかける。 当然だが、ぬいぐるみは反応しない。 ぬいぐるみは話しかけても反応はしないし、抱きしめったって抱きしめ返してはくれない。当たり前のことなのになんか泣きたくなった。布団をはがすころには部屋の中は真っ暗になっているかな。 「ご飯だよ。」母親の呼ぶ声で目が覚めた。時計を見ると19時になっていた。小1時間ほど寝ていた。重たい体を起き上がらせリビングに向かう。なに不自由もないだだのだらけた女子高生だ。そんなことは、自分でもわかっていた。だけど、何故だろう憂鬱だ。 どんなに嫌でも夜が終われば朝は来てしまう。明日は、月曜日だ。学校に行かなくてはならない。その前に課題もやり終えなくてはならない。いくら憂鬱だって言ったところで学校なんて上手に笑顔を作って生活すればいつも通り楽しそうな女子高生でいられる。見たくないもの、聞きたくない、興味もないものにもヘラヘラ周りと合わせて生活すればいい。みんなそうやって生きているのだろう。自分だってそうだ。そうしないとやっていけない。周りに合わせて生活することが一番大事なことだ。協調性とかいうやつ。どんなにおかしいと思ったことでも多くの人がそれで正しいと判断したらそれにしたがって行動する。面白くなくても、嫌なことをされても多数の人がそれで良いというのなら笑っていなくてはならない。 いつからこんな考えになったんだろう。そんなことを考えながら少女は、母親の呼びかけに返事をし夕食を取るためリビングに向かった。
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