100回継ぐこと
[002:根本美佐子]

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僕は、受験勉強を切り上げ、机の引き出しから白いレターセットを取り出した。 『ナミ先輩へ。僕はいつも自分の部屋の窓際にある机の上に、一枚の便箋を置くと、今回も僕は素直にナミ先輩に伝えたいことを手紙でなら伝えられるような気がします。先輩は僕のことを君と呼びますが、一度も、僕のことをちゃんと名前では呼んでくれないのは何故ですか?  先輩は僕よりたった一歳差で、年上だから君と呼ばれるのも仕方がないことかもしれないけど、そろそろ名前を呼んでもらいたいです。 今日は塾の定期テストの結果が出ました。先輩の通う大学への判定は、今の僕には、微妙な結果でした。Bプラスだったんです。おみくじで言うと中吉くらいでしょうか?自分では頑張ったつもりだったんですけど、そんなに甘くないようです。去年先輩がまだいた学園生活が懐かしくて、その時の僕を思い返せば、凄く羨ましいです。実はノートに書く文字と違って、ナミ先輩への手紙は自分でも信じられないくらい綺麗な字で書けます。でも最近、夜に手紙を書くせいか不思議と、夜+手紙=人体に影響を与えるか述べよ。と、最近変な公式を考えます。こんなことを考えていないで受験勉強に専念すべきだということはわかっているのですが、夜に手紙を書こうとして先輩を想うと、この公式の答えを体感しています。  先輩に手紙を書いているとセンチメンタルになります。手紙は明日の朝読んだらきっと燃やしてしまいたくなるくらい恥ずかしいことも書いてしまいますが、伝えたいことはなるべく手紙がいいんです。  それからナミ先輩、僕は今日からあることを決意しました。』

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