100回継ぐこと
[096:トウミイチヨ]
月刊現代舞台 新年特大号誌上にて 月刊現代舞台主催 第8回 新人脚本コンクール 佳作受賞作 「『島』にて」 金澤奈海 【あらすじ】 砂浜にある小高い岩場に腰かけた女性が手紙の束を読み返している。その表情や姿かたちは逆光になっていて見ることができない。 やがて女性は何かに気づいて顔を上げ……。 【選評】 往復書簡を通し、十代で出会った男女が恋愛を経て、ときに惑い苦しみながら、ゆるぎない結論に到達するまでの十年が描かれる。 女性の「これでいいの。どこにもない、私たちだけのスタイル」というセリフに、作者の強い意志を感じた。 夕暮れの海に、風で手紙が飛ばされるシーンの描写が美しい。 研鑽の余地はあるが、佳作相当とした。今後の活躍に期待する。(柳 慎作/脚本家) 【金澤奈海氏のことば】 このような賞をいただき、今もまだ信じられない気持ちです。 変えられない過去や消えない痛みさえも大切にしながら、前に進もうとする男女の十年を描きました。 ラストシーンの後も、二人の人生は続きます。それぞれが選んだ道を、躓き、ときには迷いながらも、一歩一歩進んで行ってほしいと願っています。 何度も挫折を繰り返しながら書き上げた脚本に目を留めていただき、大変光栄です。この賞を糧に、私自身も歩みを止めることなく励み続けたいと思います。(2021年11月)
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