100回継ぐこと
[059:にこまる]インタールード

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コーヒーがすっかり冷めてしまった。 そろそろ休もうかな。シェイクスピアの続きを読みながら…… 偉大なシェイクスピアの文を目にすると、途方もなくおいてけぼりをくらった気分。わたしなんて彼の足元にも及ばない。 たった今、開いたページ。 「まちがいだらけで頼りなくて浅い……」 君と会う時。 わたしはいつもホットコーヒーだった。 君の隣でカップにひとさしのミルクが渦巻く。あの瞬間が幸せだった。 そしてお気に入りのカフェのあと、海でデート。 いつもの定番だったね。 君は流木でスススッて砂浜に文字を書いた。 押し寄せる波に負けないように、強くクッキリと。 あとから来た人に見られたらどうしよう…。わたしはドキドキ。 渡された流木を持ったまま、何も描けなかった。 そう、あの時も何も描けなかった。 肝心な時に、何も描けない。誰かと一緒だって思うと、誰かに見られてるって思うと、急に描けなくなっちゃう。 今夜はミルク無し。 今のわたしには冷めたブラックコーヒーがお似合い!……そう思わない? 思い切って君との想い出を脚本に書いてしまおうかな。 どう思う? どちらでも構わないよね。 どうせすべて、わたしの一人芝居なのだから、、、 (投函しなかった手紙)

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