100回継ぐこと
[082:尾跡やぶ犬]

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巽くんへ  ウエディングプランナーの元に足繁く通って、忙しいなかもずっと準備してきて、もうすぐと夢描いていた結婚式で、特別な日に再会できることと信じていました。徐々に再拡大し始めた猛威を振るう新型コロナウィルスで挙式自体が叶わなくなってしまい、とても残念な気持ちでいっぱいです。  以前、巽くんが教えてくれた記念祝賀会も中止にせざるを得ないとネットニュースで知り、本当に残念で胸が苦しくなりました。  お互いに大切な式がなくなってしまって、こんな悲しいとこ共有しなくても良いじゃん。って、その箇所を見ながら笑って泣いて、久し振りに一人で大号泣していました。苦しいが一緒になるなんて嫌だけれど、手紙のやり取りをしていたからこそぶつけられたのかと思うと少しだけ、ほんの少しだけ笑みに繋げられたのは内緒です。  あと、報告があります。色々と溜まっていた感情を外に出し終えてから無性に巽くんの漫画を読みたいと読み返していたら、スランプと嘆いていた私がまるで嘘だったかのようにアイディアが溢れてきていました。そうだな。今なら脚本が三本は書けそうです。熱い友情、淡い恋愛、変わり種としてコロナウィルスでの体験談。恨み辛みをとことん記して、最後は周囲に愚痴をぶつけるだけぶつける日常を描くなんて良くない?  僕、そんな報告いらない。なんて言わず、一人のファンが勇気づけられたのか。そんな風に気軽に受け止めてもらえると、私は嬉しいです。  巽くん。巽くんは大丈夫ですか?  大切な式が夢幻となってしまったけれど、落ち込まないで欲しい。勇気をくれる漫画を描き続けて欲しい。読者に夢を見せ続けて欲しい。欲しいばっかりで苦しくなっちゃったら、手紙にぶつけて欲しい。あっ。また欲しいになっちゃった。  なんだかんだ。巽くんにはもらってばっかりで、私ってば本当に甘えすぎだよね。  甘えすぎついでに言わせてください。  パワーアップした連載、期待しています。 令和二年 六月五日 金澤奈海

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