100回継ぐこと
[084:夕月 檸檬(ゆづきれもん)]
巽くんへ テレワーク導入ですか。同居中の渋沢さんも、自宅でテレワークをするようになりました。一緒に過ごす時間が増えすぎた感があり、一人の時間を作れないのが困りものです。 渋沢さんは、愛妻家萌えする人が聞いたら、ときめいてしまうであろうくらいに、私を溺愛してくれています。それ故にコミュニケーションが過剰気味で、別々の部屋に居ても、一人になりきれない感じです。「こんな時代でなければ、他人と同じ空間で仕事するんだから、同じデスクで隣に並んで、仕事なり、執筆なりしようよ」なんてことも言います。 家事を半々でしてくれるのは助かるものの、分担じゃなくて共同作業なので、本当に一人で過ごす時間が激減しました。 渋沢さんのお仕事は会議が少な目なので、会議が増えてくれれば……なんて思います。放置され気味で不満を持っている人の夫君(おっとぎみ)などと足して二で割れれば丁度いいのですが……。 脚本の執筆を応援してくれるなら、一人で執筆に没頭させて欲しいと話したら、いじけながら同じデスクで隣に並んでパソコン作業するのは諦めてくれました。でも、食事やお茶の時間になると、呼びに来ます。「食事やお茶まで別々は寂しいよ」って。 まぁ、食事まで別々がいいとは思わないけど、お茶を飲むのは、一人の時があってもいいな。同居を始めたばかりで新鮮なうちだけかもしれませんが、こんなにデレな人だったとは思いませんでした。 これはいっそ、脚本のネタにしてしまおうかしら? 渋沢さんの同意があれば、問題ないと思うのです。 令和二年六月三十日 金澤奈海
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