100回継ぐこと
[093:J J J]

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(投稿しなかった手紙) あの頃に戻りたいかどうか。私には自信がありません。 「島」に行きたくない。 「島」であることすら、私たちは共有できていなかったんだよね。 本当は、終わらせるのが怖いのかもしれません。 このまま文通を続けていれば、あなたとの関係を先に進めなくて済むから。 ずっと、紙の上だけでやり取りしていたいです。 お誘いは受けられそうにありません。 本当にごめんなさい。 (投函した手紙) 巽くん 「鎌倉奇譚」の件、雑誌の告知ページで知りました。 そして、いつになってもいいから、また二人の漫画を読みたいです。 いつまでも待っています。 今、こういった言い方が適当かわかりませんが、ひとまずはゆっくり休んでください。 ……なんて、ずっと書いていない私が言っても、説得力は無いかもしれませんね。 巽くん。 きみは、負のループを終わらせたいと言いましたね。 私も同じ気持ち、前に進みたいです。 や、厳密には違うのかもしれませんね。また見栄を張って嘘をついてしまうところでした。 どんな結末になろうと、何らかの形で終わらせたいのかもしれません。私たちのループが、本当に間違っていたものだったのか。それともまだどこかへ繋がる道があるのか。 私はそれを確かめたい。 例え巽君ともう二度と会わないという形になったとしても。これでご縁が切れてしまったとしても。 このままでは、ずっと前に進んでいるフリなのかもしれません。 巽くんに会いたいです。 手紙の上ではなく、「島」で、ちゃんと顔を合わせたいです。 3月11日午後15時頃。待っています。 令和三年三月一日 金澤奈海

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