佐藤巽様 お久しぶりです。 2021年も幕を閉じ、気がつけば新しい年がまたやってきました。お元気ですか? 寅年の今年は、何事も積極的に動かないと置いていかれるようです。 私も寅のように強気にならなきゃ、とは言いつつも、虎に狩られる鹿のように弱いのです。(君はもうとっくに知っているよね。) 私は今、どこで筆をとっていると思う? 書斎です。一人で書くことに専念できる空間を作りました。とは言っても、安い家賃の家に引っ越しをしただけなのだけれど。この際、その引っ越し先を「書斎」と呼んでいます。書斎の窓からは海が見えて、心が安らぎます。すごく寒いけど、窓を全開にして、その時に吹いてくる海風が心地良いんだ。海を見るとやっぱり、君のことを思い出してしまいます。というより、君のことを前提として海が見える書斎を選んだのかもしれない。 君に、伝えたいことがあります。 だけどわたしはずるいので(君は手紙で何度も私のことをずるいと言ってきましたね)まだそれを言いたくない。 「島」で会った時のこと、今でも鮮明に思い出せます。負のループを終わらせること、私たちはできたのかな。君は「島」で、私のダメなところを散々言ってきましたね。感情で動いてしまうところ、見破られていたんだね。先輩は感情で動くから周りが見えなくなる時があるのがよくないです! と言われた時は、君のほうが大人になってしまったようで少し悲しかった。 あと、強くいる必要はない、弱いことを自覚すれば、そうすれば先輩は大丈夫です。先輩、弱くても良いんですよ。って言ってくれましたね。 君から放たれた現実的な言葉たちに耳を疑いたくなってしまったあの時の私は、どんな顔をしてたのかな。あの頃みたいにロマンチストな言葉が欲しかったな。はやぶさに例えがちな君はどこ? そんな思いもあったけれど、あの時の君の言葉は今、私のお守りになっています。 君の真っ直ぐな眼差しと、真剣な表情を思い出すと、君とか私とか何がどうとかどうでもよくなってしまう気持ちになります。それは、あたたかい感情です。
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