巽壮太様 何ヶ月も手紙の返事を送っていなくてごめんなさい。 漫画の原作者として週刊連載デビューおめでとうございます。週刊ナイトに掲載された読み切りの話も読みました。電子書籍で購読することが多くなっていた私でしたが、本屋に足を運び実際に雑誌を手に取りました。 最初は驚きました。名前が違ったから。 今は『巽壮太様』ではなく、違う名前で呼んだ方が良いのかもしれません。 (そういえば手紙の文末に名前を書いて私に送ってくれていたのに、届いた手紙には『巽壮太』の名前はもう書いてありませんでした) 私の中で初めて『巽壮太』という名前を強く意識したかもしれません。 すぐに『佐藤巽』はペンネームだと気が付きました。 きっと週刊連載が忙しいことだと思います。『前略』からの続きをどれだけ待っていても手紙は来なかったのですから。いえ、返事を書かなくても手紙を送ってくれることに私は甘えていたのだと思います。 これから私の部屋の本棚に週刊ナイトが増えていきます。書籍化される日を楽しみに待っています。 あと、「今は広い海を前に怯えている小さな少女に思える」と言われても私は怒らないよ。 それよりも、ふと昔のことを思い出しました。「島」でのデート。夏のビーチで迷子になっていた女の子。キラキラ星を口ずさみながら励まして一緒に探したこと。 私は今、少しだけ迷子になっているだけです。 脚本のコンクールで一次選考は通ったけれど、二次で落ちてしまいました。三歩進んで二歩下がって、進んでいるようでまた同じところに戻って来ているみたいです。 何年か前に文化祭で書いた脚本を読み返しました。自分で書いた脚本なのに今の自分が励まされています。 私は大丈夫。 だから、私のことを心配するそんな時間があるんだったら、『佐藤巽』として物語を多くの読者に届けてください。陰ながら応援しています。 平成三十年 九月二十七日 金澤奈海 追伸 週刊ナイトは『night(夜)』ではなく『knight(騎士)』が由来だと初めて知りました。
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