100回継ぐこと
[025:かぜのこ]
前略 第二ステージへ進まんとする挑戦者君へ 手紙のルールはセンター試験会場に忘れてきちゃったのかな? まあ、大変なときにこうして返事を書いてくれてるんだから、今回ばかりは国語の先生もお休み。見逃してあげよう。ひとまずお疲れさまでした。 そうそう、昨日は電話ありがとう。 試験会場で並んで座ってる人たちがマークシートに見えたって話、人の緊張を笑っちゃいけないけど、あれが昨日のハイライトだね。 今日、私も講義室の後ろから見渡してみたら、なるほど、わかる気がする。白黒の服の人が続いてて、オセロみたいだなって笑いそうになっちゃった。 実をいうと、勉強の邪魔をしちゃいけないと思って、次の手紙は少し間をあけるつもりだったんだよ。だけど君が珍しく電話をくれたから、報告したくなっちゃったじゃない。だからこれは君のせいです。 それと、前回の手紙にはちょっと仕掛けがあるんだけど…。その様子じゃ気付いてなさそうね。ちっとも気付かれないとそれはそれで恥ずかしいので、みずから申告。息抜きしたくなったら探してみてちょうだい。 さて、休憩もここまで。 ありきたりなことしか言えないけど、二次試験まで時間があるようで本当にあっという間だからね。残り1か月、気を抜かないこと。風邪をひかないように気を付けること。 あとは・・・「緊張はチャレンジの証拠」って誰かが言ってました。心配することはないさ。 約束通りなら、二次試験のときはこっちに来るでしょ? こちらの冬は、「島」よりもずいぶんと寒いです。 薄っぺらな体形の君に、はたして耐えられるかな。筋トレの成果に期待しているよ。 草々 平成二十三年一月三十一日 金澤奈海
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