100回継ぐこと
[039:彼方ひらく]

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 私が今書いている脚本の舞台にも海が出てくるから、もしかしたら、ちょっと影響受けちゃうかもしれません。またかって? 私のお話に海は欠かせないのです。あらすじは、ずっと内緒にしててごめんね。完成まで、まだまだかかりそうです。  巽くんのことだから、私が最近ちょっと元気になってきたのに気付いてるかな。渋沢さんからのプレゼントと、もう一つうれしいことがあったの。  実は高校教師三年目にしてようやく、念願の演劇部の顧問になることができました! 今年は私のように中学のときから演劇部だった朝比奈さんという子が入ってきて、その子が同級生を二人誘って演劇同好会を作ってくれました。三人とも一年生だし、朝比奈さんも「先生、三人で劇なんてできるんですか?」っていうんだけど、できるよね。私は「劇はその気になれば一人でだってできます」と、威厳をもって答えました。  まだ部室も設備もないし、私たちのときみたいにはいかないかもしれないけど、もし学校の許可が出たら、秋の文化祭が彼女たちの初舞台になります。みんなに演じる喜びを知ってほしいから、みんなに配役したいです。私が照明と音楽と効果音を一人で全部やったって構いません(男子は大道具係は経験しておいた方が、良いシーシアスになれるかもしれませんけど)。脚本は、どうしようかな。私が書くのは、私の独りよがりでしょうか? 『夏の夜の夢』をするには、さすがに役者が足りません。何か三人でもできる劇を、考えないといけません。  すこし熱くなってしまいました。でも、君ならこの気持ちを分かってくれると思ったので書きました。ぜひ君の意見を聞かせてください。 草々 追伸 便箋が手汗でしわしわになってしまいましたね。ごめんね。 平成二十八年六月二十五日 金澤奈海

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