100回継ぐこと
[020:多畑米]

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 君が聞けば、少し微笑みながらも、 「先輩のために使って欲しい」  とでも呆れた顔で口にするのでしょうが、私は君と同じくらい、君の合格を願っています。  私はもう一度、同じ時間を共有することを、「島」で過ごしたような、緩やかな時の流れとともに笑みを零すことを、夢に見るほどに待ち望んでいる。同じ気持ちでいてくれたら嬉しい。  もちろん、君の合格を強制するわけではないけどね。私は願うだけ。君の行き先は君だけにしか、口を挟む権利がある。応援してるよ。  追記 私は約束を忘れるほどに無責任な先輩じゃないから、ちゃんと覚えているよ。  平成二十二年 一二月四日  金澤奈海」 「前略 聖夜を陽気に晴らすような笑顔の持ち主へ  師走に入り、赤、緑、白のコントラストがどこでも見かけるような時期になりました。  街路樹は少しずつ、イルミネーションのために、寒さを耐え忍んでいます。その姿に僕を重ねてみるのは少しキザな部分があるでしょうか。  僕は聖夜に浮かれている、と言うわけではありませんが、あのコントラストを見ると無性ににっこり笑う立派な髭のおじいさんが描かれたパッケージのチキンが食べたくなります。  寒さがどんどん厳しくなってきたので、どうしても健康に意識を持っていかれることが多くなってきました。これが気の緩み、集中力の途切れのように感じて、どうにもゆっくりできないような気分です。  先輩も、実質的に二年ぶりの聖夜でしょうから、はしゃぎすぎないように気をつけてください。

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