100回継ぐこと
[051:吉見宝]

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 GWはちゃんと帰省しました。  寝つけなくてコンビニに行ったら(タバコ目当てじゃないからね)誰に会ったと思う?覚えてる?大阪から転校してきて半年だけ演劇部にいた山本君、不動産会社に就職して出張先がここだって。 「自分なんでこんなとこにおるん?ひっさしぶりやなー!」って舞台俳優ばりの大きな声なんだけど、彼は確か照明係だったよね。  コンビニの前でプチ同窓会が始まったの。  昔は彼のこと、強烈な関西弁でずっと喋り続けてる1人M-1みたいな人だって思ってたけど(銀シャリと戦っても勝てるんじゃない?)     今の彼はそれプラスなかなかの聞き上手で、職場のグチとか色々と話しちゃった。引き出すのも相づちもうまくて、さすが営業マンって感じ。   君の話も少し出たよ。くしゃみ1回程度のね。  部室のカーテンの何とも言えない匂いとか、 3回に1回、お金を入れたのに飲み物が出てこない、学校の前の自販機のこととか(君は財布に残ってた最後の小銭を吸い込まれてめちゃくちゃ怒ってたよね)そんなたわいもない思い出話で大笑いしたの。山本君が担当してる学生向けのアパートの話、エピソードが1つ1つ濃すぎて、それでまた大笑いして。ビールをもう一本買いに行こうかって聞いた時、山本君に言われたの。 「自分、なーんかおんなじとこでぐるぐる回ってる感じするな」  まだ1本しか空けてなかったのに、ストンと体の力が抜けてしまった。  久しぶりに会う相手にそんなことを言われてまさか図星だなんて、これが脚本なら主人公が単純過ぎて駄作なんでしょうね。   巽君は私がどこで足踏みしているのか、分かりますか?あの時のセリフみたいに私は「負のループ」から抜け出ていないと思う?  余計なことを書いてしまってごめんなさい。  手紙の中で巽君に質問するのはもうやめにしたいです。すぐに答えが聞けないから。  山本君なら「それがループって言うねん!」ってつっこんでくれそうよね (ここ笑うところ)。   余計なことを書いてしまいました。  ごめんね。

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